Tomoyasu Yokoyama Computational Materials Scientist's Pages

社会人博士論 Ⅲ ー社会人博士課程進学前に何をすればいいかー

第3回は社会人博士課程への進学を考えている方に向けて、 進学前に私がお勧めしたいことについて書きたいと思います。

社会人博士課程進学前に何をすればいいの?

これは人それぞれだと思いますが、私が個人的にお勧めするのは進学したい大学と所属企業の間で共同研究を行うことです。

社会人博士課程の進学の際に、一番の悩みは業務と両立できるのか、 平日の仕事・残業以外の時間で卒業できるほどの研究成果を出せるのか、という点だと思います。

博士課程に進学する前にその大学と共同研究をしておくと、精神的・身体的な負担が圧倒的に少なくなります。 進学前の共同研究によって、いわば博士課程0年生として、リスク少なく研究ができるためです。

私も共同研究がきっかけで、社会人博士課程に進学しました。 私が入社する前から続いていた東京工業大学との共同研究のメンバーに私も加えていただき、 幸運にも、参加後1年で学術発表に値する成果を得ることができました。 その成果を学術発表することで、博士号が取得できる見込みがあると共同研究先の先生にも了解をいただき、博士課程に進学しました。

このように、この博士課程0年生の成果によって、アドバンテージがある状態で博士課程をスタートできます。 私自身も、このアドバンテージがあったため、精神的にもそれほど負担はなく、 また、進学後も共同研究の枠組みの中で自身の研究活動ができたため、身体的にも楽でした。

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ゆえに、社会人博士過程に進学したいと考える企業研究者の方は、 まずは共同研究ができる可能性があるか探ってみることから始めると良いと思います。 そのために、大学の先生にヒアリングを行ったり、学会発表に参加・質問したりと、 常に目を光らせて共同研究をしたい研究室を探す努力と、先生方に自分自身を知ってもらう努力をすることが大切だと思います。

ただ、このアプローチはどうしても企業の所属上司の考え方に依存します。 現状は難しくても、自分の意思を口に出し続けていればチャンスを掴める可能性は上がります。 初めはガッツリした共同研究でなくとも、金額的にもハードルの低いアドバイザリー契約から始めるのでも良いと思います。

また、共同研究が成立した暁には、進学をする前に共同研究の成果という位置付けで、その研究内容で学会発表をすることをお勧めします。 発表済みという事実を作ることで、所属上司に博士課程進学への説得がしやすくなるためです。 私の場合は、共同研究の成果として学会発表した結果、幸運にも講演奨励賞をいただくことができ、 社会人博士課程進学について上司を説得しやすくなりました。

まとめ

以上3回に分けて、社会人博士課程について私が考えてきたことについて書きました。 まとめると、

  • 企業研究者として活躍し続ける(自分のやりたいことで成果をあげる)ために、博士課程に進学したいと思った。
  • 社会人博士課程では、研究分野の選択肢を増やしてから、自分の極めたいテーマを選択できる。
  • 社会人博士課程に進学する前に、進学したい大学と共同研究を行うことで、博士0年生として研究ができるので負担が少なく卒業できる。
  • 共同研究を行う下準備(ヒアリング・学会参加、思いを口に出す)を継続してチャンスを伺う。

です。博士課程への進学を考える皆さんのご参考になれば幸いです。